「…ようこそ孤高のエストノワール寮へ」

　エストノワール寮の紋章は外敵を薙ぎ貫く剣、寮の色は黒。談話室は、学校の東側に位置する離れの屋敷です。森に囲まれた静かな立地で昼夜問わず穏やかな時間を過ごすことができます。

　談話室には大きな暖炉があり、天井には銀の装飾が施されたランタンがつるされています。暖炉を囲むようにブラック地のソファやランプブラック色のローテーブルが設置され、閑散とした雰囲気です。部屋の家具は基本黒・焦茶・銀色などで統一されています。

　“志を持つ者が集う寮”という通り、エストノワール寮には、確固たる信念を持ち、一本筋の通った性格の生徒が集まります。カルディアの寮の中で一番生徒数が少ないのも、エストノワール寮の特徴です。その理由は闇の属性魔法は他の属性魔法と違い、後天的に得るものであるためです。呪われた人外一族以外は後天的にしか闇の属性魔法を得る方法は無く、その条件も“誰かの死を見た者、もしくは死ぬほどの絶望を味わった者”と言われています。しかし、カルディアではどういうわけか、4年生の2度目の組み分けでエストノワール寮に変わる生徒がいます。（そのため、必ずしも死を見た者や死ぬほど云々の条件を満たしているわけではありません。）近寄りがたい雰囲気がありますが、身内の結束力は強く、味方になれば心強い友となるでしょう。

　卒業後の進路は、香水師や、魔法界の執行機関である魔法省への就職はもちろん人気ですが、一つの信念を持ったエストノワールの生徒はそれを貫き通し、良くも悪くも歴史上に名を残す卒業生が多くいました。また、闇属性魔法は８つの属性魔法の中で最も攻撃力が高く、戦闘向きであるといわれています。

　エストノワール寮は闇属性魔法を司り、生徒の多くが闇属性魔法を一番得意としています。

　また、魔法香水は魔法の効果によって８色に分けられており、寮の色はその色の香水にちなんで付けられています。エストノワール寮の生徒の多くが得意とする魔法香水は黒の香水です。その効果は８色の魔法香水の中でも日陰の中で進歩を遂げてきたため、敵を退ける効果や毒薬的効果、所謂禁術と呼ばれる物も多く存在します。